ビジネス・コートの誕生

 皆様こんにちは、弁護士の吉田勇輝です。法律事務所かがやきのウェブサイトにお越しいただきありがとうございます。こちらでは、法改正等の最新トピックや、取引等において注意すべき法的ポイントなど、皆様の役に立つ情報をお伝えしていきたいと考えています。

 今回は、「ビジネス・コート」の誕生についてです。

1. ビジネス・コートとは?

 2022年10月11日、ビジネス分野に特化した日本初の裁判所である「ビジネス・コート」が東京・中目黒に誕生しました(偶然ですが、当事務所の開業日と同日です。)。といっても、ビジネス裁判所という新たな類型の裁判所が設立されたわけではなく、東京地方裁判所のビジネス関連部署及び知的財産高等裁判所が、移転・集約されたという形です。したがって、その正式名称も、「知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎」となります。

 具体的には、東京地裁の「知的財産部」(民事第29部・第40部・第46部・第47部)、会社法や独占禁止法に関する訴訟等を取り扱う「商事部」(民事第8部)、破産手続や民事再生手続等を取り扱う「倒産部」(民事第20部)と、知的財産高等裁判所とが1か所に集約されることとなります。したがって、これらの担当事件については、これまでの霞が関の裁判所ではなく、中目黒のビジネス・コートにて提起・処理されることになります。

ビジネス・コートの外観(中目黒)

2. ビジネス・コートの特徴

 近年、企業の海外進出が進み、企業間の紛争は、国際的かつ複雑なものとなる傾向にあります。そのような状況下、ビジネス・コートの開設は、選択と集中によりビジネス関連部署を集約した上で相互連携することにより、専門性・国際性の一層の充実・強化を図ることが目的とされています。具体的には、知的財産や経済紛争に詳しい裁判官や調査官に加え、弁理士や公認会計士等の「専門委員」が1か所に集まることで、より専門性の高い審理や迅速な解決につながることが期待されています。

 また、近時進められている裁判のIT化にも対応するため、ウェブ会議専用のブースが設置されるなど、IT設備も充実しているとのことであり、効率的かつ迅速な審理の実現を目指しています。

 なお、本日(2022年10月19日)までに業務を開始しているのは知的財産高等裁判所と東京地裁の商事部と知的財産権部であり、残る東京地裁の倒産部については、10月24日から業務を開始する予定となっています。

3. 今後の展望

 時間がかかるなどといった点から、特に海外企業からの日本の裁判所に対する評判は必ずしも良いものではありませんが、ビジネス・コートの開設を機に、より利用しやすく機能的なものとなるか否か、今後の動向が注目されます。

 当事務所では、裁判対応は当然のことながら、それ以外のあらゆる種類の企業法務について取り扱っております。何かお困りのこと等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

法律事務所かがやき
弁護士 吉田 勇輝